遺言は遺される方への最後のメッセージです。
遺言は法律で要件が定められており、法律の要件にあった書き方をすることにより、法律上の効力を持ちます。反対に、法律の要件にあった書き方をしないと法律上の効力を持たないものとなり、せっかく書いた遺言が無駄になってしまうこともあります。
遺言の作成をお考えの方は、せっかくの遺言が無駄にならないためにも、専門家へのご相談をお勧めいたします。
遺産相続のトラブルは遺産の額に関わらず起こります。
裁判所で取り扱った相続財産額別の遺産分割事件数(司法統計H22・全8015件)
- 1000万円以下 … 31%
- 5000万円以下 … 43%
- 1億円以下 … 13%
- 5億円以下 … 7%
- 5億円超 … 1%
- 不明 … 5%
「争いになるほどの財産なんてないよ」と決めつけず、遺言の作成について一度よくお考えください。
酒井司法書士・行政書士事務所では、公正証書遺言・自筆証書遺言の遺言作成の作成サポート、遺言執行者への就任等により、皆様の遺言作成から遺産執行までのお手伝いをさせていただいております。
こんな方には遺言の作成をお勧めします。
自分が死んだ後、相続でもめそう
相続でもめる原因は様々だと思いますが、よくありそうなところとしては次のようなことでしょうか。
- 相続人同士の仲が悪い。
- 前妻・前夫との間の子がいる。
- 被相続人と同居し、介護してくれていた相続人がいる。
- 自宅購入資金や学費援助などで生前に財産を譲り受けた相続人がいる。
相続人はそれぞれ様々な思いを抱えています。お互いを思いやって遺産分割できれば良いのですが、なかなか割り切れないこともあり、いわゆる”争続”となってしまうこともあります。しかし、相続人の方たちのために遺言書を書くことで相続人同士の争いを避けることができるかもしれません。
お子様がおらず、遺産をすべて配偶者(夫・妻)に相続させたい
お子様がいらっしゃらず、ご両親もお亡くなりになっている場合には、配偶者とご兄弟が相続人となります。そのため遺産を配偶者に相続させたい場合には、遺言書にその旨を書かれることをお勧めします。ご兄弟には遺留分がありませんので、遺言書に書いておけばご希望のとおりの相続とすることができます。
特に主な遺産がご自宅の場合には、ご兄弟にもご自宅の権利の一部を相続する資格があり、残された配偶者が安心してご自宅にお住まいになれなくなる可能性もあります。このような場合には、遺言書を作成し、ご自宅を配偶者に相続させる旨を記載しておけば安心です。
内縁関係の夫・妻に遺産を相続させたい
法律上の婚姻をしていない、内縁関係の夫や妻は、遺産を相続する権利がありません。そのため、内縁関係の夫や妻に遺産を相続させたい場合には遺言書を作成してその旨を記載しておく必要があります。
相続人ではないが、お世話になった方に遺産を相続してもらいたい
お世話になった方に、感謝の気持ちとして遺産を相続してもらいたいとお考えになる方もいらっしゃると思います。しかし、その方があなたの相続人でない場合には、遺言書を作成してその旨を記載しておく必要があります。
遺産を寄付したい
「自分の遺産を世の中のために役立ててほしい」そんな風に考える方が最近増えているのではないでしょうか。相続人の方にそのような期待をかけるのも良いと思いますが、相続人の方がお忙しいとなかなか思い通りにはいかないかもしれません。
そのような場合には、遺言書を作成してその旨を記載しておけば、公的な活動をしている団体や施設に直接遺産を寄付することもできます。
会社を経営していたり、個人事業を営んでいる。
会社を経営していたり、個人事業を営んでいる場合には、後継者となる方が安心して事業を承継できるように遺言書の作成を強くお勧めいたします。もし、遺言を作成することなく相続となってしまった場合には、経営上重要な財産についても相続人全員に相続する権利があるため、遺産分割協議が長引いてしまうとその間会社や事業の運営が滞ってしまう可能性があります。
そのような事態を回避するため、遺言書を作成して重要な経営資源を円滑に後継者が相続できるようにすることが必要です。
遺言に関する一般的な説明
主な遺言の方式
- 自筆証書遺言
遺言者が全文を自筆で書く遺言書。
作成日付、氏名も自筆して押印する必要がある。
遺言者自ら保管するか、信頼のおける人に保管を依頼する。
- 公正証書遺言
公証人が遺言者から遺言の内容を聞き取り、それを遺言に作成する遺言書。
公証人のほかに証人2人以上の立会いが必要。
遺言書の原本は公証人が保管する。
遺贈
遺言に内容を記載することにより、特定の相続人や相続人とならない人に特別に遺産を与えることです。
遺産のうち特定の財産を特定の相続人に与えたい場合や、相続人とならない人に遺産を与えたい場合等に利用します。
遺留分の請求があった場合には遺贈の内容どおりとならないこともあり、遺贈を受ける人は、遺贈を放棄することもできます。
遺留分
遺贈等により、極端に相続分が少なくなった相続人のために、相続財産を確保するための制度です。
配偶者、子(孫)、親(祖父母)が相続人になる場合に認められます。
兄弟姉妹には遺留分は認められません。
遺言執行者
遺言の内容どおりに遺産を処理する人で、遺言の中で指定することができます。
相続人同士で遺産を処理するとトラブルになりそうな場合や相続人が忙しくて手続きができない場合などには遺言執行者がいるとスムーズに手続きが進められます。
遺言書の検認
被相続人の死亡後、公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合には、開封せずに家庭裁判所に提出して検認の手続きを取る必要があります。
検認の手続きにより相続人全員が裁判所に集められて、遺言書が開封されます。